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変化に対応できる3Dアリーナへーーカウントダウンライブの裏側

はじめに

こんにちは!
カバー株式会社CG制作部3D背景チームのOです。

カバー株式会社では、ホロライブプロダクション所属タレントがスタジオでの3D配信を行う際に使用する3Dアセットを1から制作しています。
また、既存アセットの見た目を整えたりして使用しています。

私はその中でも、3D背景チームとして様々な3Dステージの制作を行っています。

代表的な制作例は、
ホロスターズやホロライブインドネシア/イングリッシュのリージョン向けに制作されたアリーナステージ全般です。

ホロスターズ アリーナステージ
ホロライブID アリーナステージ
ホロライブEN アリーナステージ

年間50件を超える音楽ライブ配信を行っており、
それらのほぼ全てで使用されるアリーナステージはホロライブプロダクションの「顔」として存在していると考えております。

今回は、12/31に配信されるカウントダウンライブでこけら落としとなる新アリーナステージについて、その制作経緯やこだわりについてお話できればと思います。

3Dステージ制作の流れ

まず、一般的なステージ制作の流れについてご説明できればと思います。

一般的なステージ制作は、上記の図のような流れで進行します。
ゲーム制作や映像作品の3Dモデル制作とほとんど変わらない工程かと思います。

3D背景チームでは図でいうと要件定義からルック調整までを担当しております。
次からは、各工程について、詳しく解説していければと思います。

要件定義~デザイン

まず、ステージ制作に欠かせないのはなんといっても「企画」です。
弊社では3Dお披露目に向けてタレントごとの専用ステージを制作いたします。

この際に、タレントや配信ディレクターの要望をまとめたものが「企画」として我々のもとに届きます。
ここで、ミーティングなどでデザインを行うのに必要な情報や、ステージの詳細な使用目的などをヒアリングしていく作業が「要件定義」です。

定義された要件を基に、ステージのデザインや大まかな設計を行っていきます。

モデリング~ルック調整

デザインまで完了したら、制作を開始します。
大まかに言えば、形だけを作りその後にどう可動するかを決める場合が多いです。
制作したステージを社内エンジニアチームにデータを引き渡し、スタジオで使えるように実装して貰う必要があります。

ここを専門用語を使わずに説明するのが難しいのですが…
例えば、円形ステージが上下に稼働する形に制作したり雪や花びらが降ってくるエフェクトの制作などは3Dチームの担当で、スタジオのボタン操作にステージ上下移動やエフェクトのオンオフを紐づけてもらうといった具合です。

円形ステージの上に舞う花びら

今回のステージの制作経緯

普段からホロライブプロダクションの音楽ライブを視聴いただいている皆様の中には次のような興味を持った方もいらっしゃると思います。
いま使っているステージでも十分使えているのに、なぜ新しいステージを作ったのか?
この章では、意図と経緯についてご説明できればと思います。

まず、現在使用しているアリーナステージは、改修を重ねてはいるものの基本的な原型は2020年6月のときのそらさんの配信から、3年以上もの間使用され続けてきました。

この3年間でカバー株式会社の技術的な成長もあり、ホロスターズやインドネシア/ イングリッシュのアリーナステージなど比較的見た目の良いステージも運用が始まりました。

3年間の間継ぎ足し続けてきた結果、構造などが複雑化している部分もあり、各所からの要望に応えるのが難しくなってきていました。

つまり、「最新の技術力で」「様々な要望・変化に対応しやすい」ステージを制作する必要があったのです。

制作期間

実は、2022年6月に一度、新型のアリーナステージを制作していました。
運用直前まで行ったのですが、最終的にカスタマイズ性やデザインが納得できずにお蔵入りさせました。

そこから1年…今回のカウントダウンライブに向けて、再度制作が動き出したのが2023年6月のことです。
2023年6月に、「モック」と呼ばれる大まかな外見だけのデモンストレーション用モデルを制作しました。

モック

照明やカメラワーク演出の知見も取り入れながらの制作となるため、まず大まかな造形の部分で様々な有識者へ確認します。
ここで大まかな造形の承認を得た後、本格的なモデルの作成に進むことが出来ます。

本格的なモデルの作成へ

新アリーナステージは、先述の通り「様々な要望・変化に対応しやすい」ステージにするため、様々な工夫が必要でした。

今後の要望次第では2点の課題をクリアしなければいけませんでした。
・様々な装飾などが足されることを想定してシンプルに
・装飾がなくても最低限画面映えが良いように

ステージのベースが完成した後、カウントダウンライブ専用のデザイン装飾を行いました。
カウントダウンライブのロゴやライブタイトルなど、昨年のデザインを踏襲しつつ、今回のステージの新規要素が映えるようなデザインになっています。

カウントダウンverの新アリーナステージ

アリーナステージの設計について気をつけたこと

新アリーナステージは、従来のアリーナステージと造形が大きく異なります。
特に意識して変化を加えたのが、センターステージに自然と注目が向くような造形にした点です。
これまでのステージでは、客席中央にあるセンターステージを使用した場合、どうしてもメインステージが遠く、お互いが孤立した印象を与えていました。

センターステージにタレントがいるときにもメインステージとの一体感が生まれつつ、メインステージを見ていてもセンターステージが演出で馴染むような、そんなイメージを目指しました。

センターステージ

そして、もう一つの大きな点がこれまでも話してきた通り「カスタマイズ性の高さ」です。
映像が流れるモニターを、造形時から動かせるように制作するなどはもちろん、センターステージも基本の円形以外にも四角形など他の形状にも変更できるような設計になっています。

モニターが上がっている状態
モニターを下げ、格納している状態
センター円形ver
センター四角形ver


また、照明のアップデートも凄まじいことになっています。
照明の制御では、制御する照明関連の灯体・機器ひとつひとつをフィクスチャーという単位で制御し、それぞれの機器に送られる色(RGB)や向きなどの制御信号をチャンネルという単位で管理しています。

例えば、スポットライト1つはフィクスチャーとしてはひとつですが、RGBでの色情報や灯体の向きや角度など、ひとつのフィクスチャーに9chの制御信号が割り当てられています。
旧アリーナではフィクスチャー数が30、それに紐づいた制御信号のチャンネル数が120ch程度だったところから
今回制作された新アリーナでは、フィクスチャー数が802、それに紐づいた制御信号のチャンネル数が4791chまで増加しています
これにより、文字通り桁違いの照明表現が行えるようになります。
カウントダウンライブでのライティング演出をお楽しみください!

ただ、これらの工夫はそのままステージ全体の負荷となってしまっています。
特に照明は40倍以上の信号を処理せねばならず、負荷も桁違いといったところです。
今回のカウントダウンライブには間に合いませんでしたが、今後の利用を考え、見た目を変えずに処理を軽くするような、新しい照明描画方式の開発にまさに今、取り組んでいるところです。

まとめ

今回制作したステージでは技術的な挑戦を多く行っている都合上、まだ通常運用が難しい部分も課題として残っているのが事実です。

今後、最終調整を行っていきながら、記念配信などのすべての配信にて新アリーナステージでのパフォーマンスをファンの皆様に楽しんでいただけるよう開発に取り組んでいきますのでお待ち頂ければ幸いです。

12月31日(日)23時ごろ、YouTubeにて配信スタート!
『hololive production COUNTDOWN LIVE 2023▷2024』

ホロライブ公式ch
https://www.youtube.com/@hololive
ホロスターズ公式ch
https://www.youtube.com/channel/UCWsfcksUUpoEvhia0_ut0bA