カバー内部のものづくりとこれから。CG制作部インタビュー
いつもnoteを読んで下さっているみなさん、こんにちは!
カバー株式会社 人事部 兼 採用広報担当の桑江(くわえ)です。
VTuber事務所「ホロライブプロダクション」には、50名以上のタレントさんが所属しています。ホロジュールをご覧いただくと、毎日数多くの配信予定がずらり。
そんな中、配信の裏側であるカバー株式会社内部では、一体どんな業務が存在しているのでしょうか。今回は、3Dお披露目や、3Dライブ配信におけるキャラモデルや3Dステージなどの背景に注目し、その制作を一挙に担うクリエイティブ制作本部の方にインタビューしてきました!
クリエイティブ制作本部CG制作部(3Dキャラクターチーム、3D背景チーム)で活躍するEさん、Tさん、そしてマネージャーであるSさんを交え、制作におけるこだわりや苦労している点などをお聞きしています!配信を別の角度から味わえる、裏側の部分を少しでもみなさんにお伝えできたら嬉しいです。
■CG制作部が担当している業務
──インタビューのお時間いただきありがとうございます!
今回はクリエイティブ制作本部の方から「記事にしてほしい」というお話をいただきましたが、どういった理由からだったのでしょうか?
Sさん:こちらこそありがとうございます!これは個人的な感覚になってしまうのですが、カバー社の中でコンテンツを内製している、という事実はあまり広く認知されていないのではないかな、と思っています。
そんな中社内でフレッシュな若手社員が、日々色々なコンテンツを制作しているのを見るといてもたってもいられなくなり、もっと社外にアピールしていきたい!人材を募って、今後の内製力を、もっともっと強化したい!と思ったのが、きっかけです。
──そういうことだったんですね。もちろん、ぜひ協力させてください。
では早速ですが、みなさんの自己紹介と担当業務について教えてください!
Eさん:わたしはクリエイティブ制作本部CG制作部に所属しており、3D背景チームでリーダーをしています。お披露目配信や周年配信で使用される、3D背景に関する制作にはほぼ全て関わっていて、コンセプトの企画やデザイン提案、制作完了するまでのフォローと、一括で担当しています。
Tさん:自分も同じくクリエイティブ制作本部CG制作部に所属しており、3Dキャラクターチームのリーダーを務めています。業務の流れ自体は3D背景チームと変わらないのですが、チームの名前通り3Dキャラクターそのものや、配信で使用する小物やマスコットキャラクターなどの制作が主な担当業務です。
Sさん:私の場合は直接制作をするというより、マネジメント業務ですね。
メンバーの仕事をやりやすくするための環境整備など、チーム自体を強くしていくための業務に携わっています。冒頭でも少しお伝えしましたが、今後もチームをより強化していきたいなと思ってますね!
──毎日多くのタレントさんが行っている配信活動ですが、CG制作部の制作物量としては、どれくらいのボリュームなのでしょうか?
Sさん:ものすごい大量ですね(笑)。配信で使うちょっとした小物やキャラクター、ステージなどを含めると、それこそ年間で数百のものが必要になってきます。
──数百はすごい数ですね…!
Sさん:それらのオーダーを、全て3Dキャラクターチームや3D背景チームの担当者が分担し、なんとか制作している状況です。
また、3Dキャラクターは今まで外部の協力会社さんと一緒に作っていることが多かったのですが、最近は内製化を推進していて、社内制作で完結することも多くなっていますね。内製力をより高めていくことが、今後の目標なので!
■3Dキャラクターチーム
──ここからはチームごとに質問していこうかと思うのですが、3Dキャラクターチームの業務内容を教えてください!
Tさん:3Dのキャラクター制作を担当しているチームになるので、新衣装や3Dお披露目など、ファンのみなさんにお見せするタイミングに合わせて、制作しています。
3Dキャラクター1体あたりの制作期間が、おおよそ3ヶ月ほどなので、スケジュールを調整しつつ、しっかりとしたクオリティで制作することを心掛けています。
3Dキャラクター制作を長期的に行いつつ、3Dお披露目配信や、周年配信で使用する小物(プロップ)などの準備も、併せて進めている状況ですね。タレントさんが希望している演出を実現する上でどちらも大事な業務になるので、慎重に進めています。
──例えば大きいライブなどで使用する衣装も、キャラクターチームが担当しているのでしょうか?
Tさん:その通りです!
「4th fes.」のように大型ライブを開催する際、参加するタレントさん全員分の新衣装を制作する必要が出てきます。こういった大規模イベントの際には、ゲームのキャラクタークリエイトに似たようなシステムを用いて制作しています。
──軽くお聞きしただけでも担当領域がすごく広いなと感じたのですが、どのような流れで進めているんですか?
Tさん:仕事の流れとしては、テレビ業界をイメージいただくとわかりやすいんじゃないかなと思います。発表したいプロダクトがあって、そこに対してどんな技術が必要なのか。タレントさんが実現したいポイントはなんなのか。どういう演出や小物(プロップ)があれば、それを実現できるのか。
企画をする部署のディレクターと、3Dキャラクターチームのデザイナーがすり合わせを行いながら、チームの垣根なく、社内のみんなで協力して作っています。
制作スパンがかなり短いというのも、TV番組等の映像制作現場と似ているかもしれないですね!
Sさん:自分としてもイメージはTV番組のような映像制作と、ゲーム制作の中間にあたる業務なのかなと思っていますね。
社内のディレクターと相談しながらキャラクターモデルを作り上げていき、モーションキャプチャーを行う。そのモデルをスタジオで動かしつつ、新たにでてきた課題をスタジオエンジニアさんと一緒に解決していく。そのあと最終的に、タレントさんに使ってもらうといった流れです。
──相談しながら制作していくのはめずらしいな、と思ったのですが、3D制作の業界では普通のことなんですか?
Sさん:相談するのはどの業界でもあることだと思いますが、
カバーの物作りは毎回作るものが違うので、コミュニケーションの重要度はすごく高いですね。現場の担当者がエンジニアやディレクターと都度相談しながら実装方法を決めています。
デザイナー自身が最後まで実装をすることで、デザイナーのクリエイティビティを存分に生かすようなフローにできればいいな、と。
3Dキャラクターモデラーが責任を持ってデザインし、タレントさんと共ににものづくりをしていく、そんなチームを目指しているという想いもありますね。
──メンバーの立場から、Tさんとしてはいかがでしょうか?
Tさん:前職までは、分業化されていると作るだけが仕事になってしまって、あまり会社の事業や企画に関われていないような気がしていました。カバーだと全て自分が担当するので、どういう表情が必要なのか。何のために使いたいのか。経緯を知りつつ実装することができます。企画が成功した時などは、達成感にもつながりますし、高いモチベーションで仕事できているかと思います。
Sさん:現場裁量は大きめな会社かもしれないですね!
■3D背景チーム
──次に、3D背景チームの業務内容を教えてください!
Eさん:背景チームの担当領域もかなり幅広いのですが、主に3Dお披露目配信や、周年配信で使用されるアニメーション、エフェクト等を含めた、3D背景全般を担当しています。
タレントさんのライブ自体も、ほぼ毎月2回以上は行っているかと思うので、その配信に合わせて、ステージ制作していますね!
3Dキャラクターチームと同じように、企画のディレクター・エンジニアの方達とディスカッションを重ねつつ、制作内容を決める段階からすり合わせしています。MTGをしながら、コンセプトデザインなどを決定し、最新のステージを作っていく、といった内容です。
──3Dキャラクターチームと同じように、企画の段階から携わっているんでしょうか?
Eさん:その通りです。背景チームでも、現場のデザイナーが責任を持ってデザインしています。もちろんタレントさんやディレクターさんと協議し制作していますが、アイディアの段階では、抽象的なものも少なくありません。
そういった場合にも、しっかり関係各所とコミュニケーションをとりながら、デザインを練り上げていくことが大事な業務になっていますね!
──どのチームも提案ベースで進んでいくのが特徴的ですね。では直近で制作したステージのお話を聞かせてください!
Eさん:例えばこれはさくらみこさんのライブ制作中の画像なのですが、このときの演出や画づくりは、さくらみこさんの要望に合わせて社内開発しました。
加えて角巻わためさんのライブ配信では、角巻わためさんの要望でアリーナ客席モニターを設営しました!
──すごい。会場を魚が泳ぐ演出が。
Eさん:こういった演出も、タレントさんやディレクターさんと協議しながら、進めていきました。どのように魚が泳いでくるか、どんなモニターを配置していくか、などをこちらから提案し現在のシステムに組み込んでいます。
ここまで横長で面積が大きいモニターもめずらしい(技術的に大変なので…)のですが、負荷対策などを考えつつ、実現していきましたね!
──いつも見ていてすごいなと感じていました。ライブステージ以外にも制作することはあるのでしょうか?
Eさん:普段の配信ですとライブ映像が注目されがちなのですが、バラエティ番組風のステージにも挑戦しています。
3D空間上に部屋を作り、スタジオに仮建設して、ドアを開け閉めできるかどうかテストを繰り返したり…と、細かい部分にも配慮しながら、スタジオチームと一緒に制作を進めていましたね。先ほどTさんやSさんも言っていましたが、確かにTV業界の大道具さんに近い感覚で3Dを作っているかもしれないです(笑)
■それぞれの業務のやりがい
──どのチームも特徴的で、とても興味深いお話だったのですが、業務のやりがいなどはいかがですか?
Eさん:どちらのチームにも言えることなのですが、世の中に発表できるスパンがとても短いことですね!ゲーム業界出身なので、プロダクトをリリースするまでの時間が長かったり、結局リリースされない、ということもしばしばありました。
ですがカバーの場合だとリリースが早い上に、リアクションも多い。反応をたくさん頂けるというところも含めて、やりがいになってますね。
Tさん:繰り返しになってしまいますが、自分としては企画や提案の段階から関われる部分が大きなモチベーションになっています。ディレクターやスタジオエンジニアの方々と共に、ものを作っていけるという部分がありがたいですね。
「こういうことをやりたいです」という要望や達成したいゴールから共有ができ、提案ベースで進めていける部分が、クリエイターとしてとてもやりやすいです。
──大変な部分などはありますか?
Eさん:提案できる環境だからこそ、なのですが、表現の振り幅が大きいのは苦労するポイントかもしれないですね。イベントごとに制作するテーマも違いますし、ライブなのかバラエティなのかによっても、演出は大きく異なってきます。
その中で、タレントさんの要望や、好みに沿った提案を重ねていくことが大事なんだなと思っています。
Tさん:配信の中で生まれたアイディアなどには、今まで見たことがないものや、かなりシュールな組み合わせもあったりするので、驚くことが多いかもしれないです。詳細なお話を聞くまでは戸惑ってしまうこともあったりして(笑)
──それは面白いですね、印象に残っている要望などはありますか?
Tさん:例えばがうる・ぐらさんの配信で登場した「えび」ですね。
要望をお聞きした段階だと、えびにムキムキの腕が欲しいというお話で、はじめは「どういうイメージなんだろう」と戸惑ってしまいました(笑)
詳細をお聞きした後も、企画ディレクターなどに「そのエビはどうやって歩くんですか?」と聞いてみたりして、かなり忠実に再現しようとしていた記憶があります。やっぱりそのあたりのセンスはタレントさんにお任せしているので、なるべくイメージに近い状態を再現しようと頑張ってましたね!
■ベテランも、若い感性も。
──面白いお話ありがとうございます!最後に今後CG制作部として、どんな人にきてほしいか聞いてもいいでしょうか。
Sさん:会社の規模は大きくなりましたが、まだまだ現場に人は足りていませんし、組織作りもこれからという感じですね。なので経験豊富なベテランの方も、若い感性を持っているこれからの方も、幅広くカバーに興味を持ってほしいなぁと思います。
基本的な技術や対応力がある方であれば、スキルとしては問題ないですし、日々成長している業界なので、業務内容も常に変わっていきます。新しいことに積極的にチャレンジしていける人だとなおいいなと思いました!
Tさん:一般的にゲーム業界等で働いている方であれば、持っているスキルセットで十分働ける環境だと思います。
技術面ももちろん重要なのですが、コミュニケーション力をとりながら制作を進めていく現場なので、発想力や応用力のある人に来てほしいですね。
また3Dキャラクターチームはキャラモデルに触れるので、VTuberというコンテンツが好きな人に来てほしいです!タレントさんの好みや、バックボーンを知っていた方がやりやすい部分もあったりするので、少なくとも興味や関心がある人がいいかなと思います。
Eさん:自分としては熱意がある人がいいですね。背景を作る仕事なのですが、3D背景というジャンルになるので、見た目のデザインを行う部分と、実際に構築していくシステマチックな部分が両立する仕事です。
その上で、どうやったら作りたい演出が実現できるのか、映像として面白いものが作れるのか考えつつ、見た目とシステムのバランスが良い制作をしたい人に来て欲しいですね。
──本日はありがとうございました!
今回インタビューさせていただいた、CG制作部3Dキャラクターチーム、3D背景チームのポジションですが、現在積極採用募集中です!
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